損傷制御 ~仕上げ、設備等の被害を小さく収める設計~

 損傷制御設計とは、地震による構造物の損傷を抑えて、仕上げ、設備等も含めて被害を小さくすることを目的とする設計です。設計指標としては、損傷度(損傷限界エネルギーに対する入力エネルギーの比:Id値)を用います。公共施設、衛生レベルの高い大型工場、事務所ビル、集合住宅など、様々な用途の構造物に適用されています。SRF工法によって、主要な柱、壁を被覆し、ひび割れに弾性的な復元力を付与することで実現します。集合住宅の共用部の廊下や玄関、バルコニーの壁など、ひび割れが生じると構造物の継続使用に支障をきたす部分に絞って被覆を行うことも可能です。
 2001年11月に、科学技術庁防災科学研究所、東京大学地震研究所と共同で実施した偏心ピロティ建物模型に大地震波を次々とかける大型振動台実験において、SRF工法で補強した場合には、無補強に比べて数倍の損傷限界エネルギーを持つことが実証されました。新築マンションのピロティ部分を被覆しただけで全体の揺れが収まったことも微動計測によって確認されています。
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損傷制御設計事例